函館宮前町カトリック教会建替工事 施主名:カトリック札幌司教区 工事期間:2004年6月~2005年3月 主体構造:聖堂棟、RCラーメン構造 アネックス棟、RC壁構造 建築面積:848.75㎡ 延床面積:852.71㎡ 1)計画の目的 現木造聖堂老朽化に伴う建替えである。 2)配置計画 施主(教会建設委員)の要望は、現教会を今回計画教会が完成するまで残し、工事中もミサが あげられるようにすること、及び広い広場を持つ教会にしたいというものであった。 この2つの要望を満たすために、新教会は敷地北側奥、現教会の裏に建設することになった。 敷地北側は住宅地に面している。 そこに大きな建物を建て、周辺に閉塞感をもたすことを回避するために、新教会は卵型の平面形 を採用し、両隣の建物との間に扇形の空間を確保した。 3)平面計画 いつもの様に施主(教会建設委員)の要望は建設費に比して膨大であった。通常で250人、最大で500人が入れる聖堂、 250人利用の信徒室、年に4回の500人信徒集会、小会議室4室、宿泊室、その他必要諸室。その解決策としては、それぞ れの機能を共用することである。今回計画は、要求諸室の間仕切に積極的にカーテンと可動間仕切を用いた。それらをすべ て格納し、あくまでも500人聖堂となった時に最大の空間性を持てるように計画している。又、偏芯円錐屋根を支える12本の 柱は既成PC杭を用いた。祭壇に向かって柱径を600φから350φまで減衰させ、平面的に祭壇への求心性を持たせている。 4)断面計画 500人聖堂の時、後方席からも祭壇に対し求心性をもてるように、聖堂上部屋根は偏芯円錐屋根とした。 5)音響計画 祭壇背壁、泣き部屋壁、壁面入窓形状は、音響拡散板として、機能するように計画した。カーテン類は音響吸収部として 検討している。可動間仕切は一点吊りとし、表裏で音の吸収及び反射として機能するように計画した。これにより、250人 聖堂の残響音を3秒から6秒まで変化させることが可能となった。 6)外構計画 現教会解体を含め、外構コストを極度に下げるために、現教会の基礎はそのまま残すことになった。その基礎で囲われた 内を、花壇や畑を織り混ぜ舗装することを考えている。 7)設備計画 壁面で外気に面さない250人聖堂を空調換気するために地中クールチューブから外気を吸気し、対流空気をトップライトに より排気するシステムを採用している。暖房は床面輻射暖房で計画している。 |